日本クラシック史に刻まれる珍事に立ち会った話@サントリーホール
全然ジャニーズと関係ないんですけど自由に書けるところここしかないしあまりの衝撃だったので記録しておきます。笑
2021年6月3日にサントリーホールで行われたダニエル・バレンボイムのピアノリサイタルに行ってきたわけですよ。あの大混乱の。
サントリーホール2日間(しれっと追加公演が6/2にありましたが)の演奏曲目は
6/3 ベートーヴェンピアノソナタNo.1-4(プログラムA)
6/4 ベートーヴェンピアノソナタNo.30-32(プログラムB)
の予定でした。
一般的に人気が高いのはプログラムBの方らしいですが、私はベートーヴェンの初期ソナタの方が好きだし、自分が勉強したことのある曲もあるのでプログラムAの方を選びました。
私は小さい頃からピアノやら何やらをやっていて、自分みたいなペーペーも弾く曲を巨匠ともあろうお方がどういう演奏をするのかにめちゃくちゃ興味がありました。つまりはプログラムBが売り切れたから仕方なくAにしたわけではなく、結構なこだわりを持ってAの方を選択したわけです。
チケット取った時から超楽しみにしてて、予習バッチリ!!でホールに向かい、演奏会が始まりました。
コロナ禍になってから2000人規模の満員のコンサートホールなんて久しぶりだし、登場の割れんばかりの拍手に泣きそうになりました。
バレンボイムが座り、私はピアノソナタNo.1の1楽章のf mollの鋭い旋律*1を想像しながら、彼がどんな1音目を弾き始めるのか、聴覚に全意識を集中させていました。
しかし始まったのは優美なE dur*2ではありませんか。
これは割れんばかりの拍手に応えてオープニングアクトをやってくれているのか?それとも私が日付を間違えちゃったのか?それとも私がずっと1番だと思ってた曲は実は違ってこの曲が1番なのか????
といった具合に頭に?が50個くらい浮かんだんですけど周りの人は平然と聴いてるし(多分みんなざわつかなかっただけで同じことを思っていた)、オープニングアクトにしては長いから、私が日付間違えたんだ、やらかした〜!!!なんて思いつつ1曲目が終了。
曲間にパンフレットで演目を確かめると、そこには確かに6/3はプログラムAと書いてありました。プログラムノートにもNo.1はf mollって書いてあるし。何が起こったのでしょうか。
何の説明もなくNo.31が始まり、休憩になりました。これは曲目変更の張り出しがあるのかな、私が見落としちゃったのかなと思いロビーに出ましたが何もなく。
きっと休憩明けはNo.3を弾いてくれるのでは?なんて微かな期待を胸に待ってましたが、「この後No.32を演奏し、最後にマエストロからのお言葉があります。」とアナウンスがありました。
まあ確かに!!この流れでNo.1から弾くとかNo.3弾くのもなんか違うよな!!!でも私は!!!!Aプロが聴きたくて2万払ったの!!!!2万!!!!なんて思いました。
言うまでもなく演奏は本当に素晴らしくて、音色の幅も多彩だし何よりピアニッシモが小さすぎる。すごい。全ての流れが自然で、鳴るべくして鳴ってる音しかないし、ピアノを弾いているというよりももはや彼とピアノは一体なのでは?なんて思ってしまうくらい素敵でした。巨匠って言われる所以を身にしみて感じました。
そんなこんなで演奏は全て終了し、マエストロからのありがたいお言葉がありましたが、なんかうまーーく言いくるめられちゃったな、ちょろいって思われてそうだなと思いました。
おそらく本人が間違えたわけではなく、招聘側とバレンボイム側の行き違いによるハプニングだったとは思いますが、なんかな〜なんて思いながら拍手してました。演奏は良かったんですよ本当に。
事前に告知があったならそれはそれで諦めて受け入れて演奏に全集中できたのに、動揺半分、絶望半分みたいな感じでせっかくのバレンボイムの演奏に集中しきれなかったのも残念でした!!!
演奏が良かったのは事実だし、このご時世に来日公演やってくれて、聴きに行ける環境にあるだけありがたいと思うべきなのか??でもこちとら2万という大金を払ってるんだよな???私がどれほどAプログラムを楽しみに毎日生きてたか!!!!ウエストサイド物語観に行ったら始まったのはロミジュリだったけど大筋同じだから許してねてへぺろって言われてるような。
金返せとは別に思わないし、たとえお金が返ってきたところで私が聴きたかったプログラムが聴けるわけでもないし、後期ソナタも綺麗な曲なので聴けてよかったといえばよかったですが、なんだかモヤモヤする来日公演でした。おしまい。