陽焼けたセリフが邪魔する

推しについてのひとりごと

GOYA初演キメた話

 

※ネタバレあるのでまだ観てない方はご注意ください!あとあくまで評論家でもなんでもないいち個人の観客の感想です!!!ほんとに!!!!!

2021年4月8日、まだコロナも収まらぬ春の日、全私待望の今井翼主演ミュージカル『GOYA』が初演を迎えました。まず無事に幕が開いて何より。

 

新作ミュージカルと聞いた時点で、初日は絶対行こうと思ってました。だってこれから何度も再演される(かもしれない)ミュージカルの世界で最初のお客さんになれるってすごくない?

 

日生劇場初めて来ました。思ったより小さかったし、マーメイドラグーンみたいな設計で可愛かった。

 

席はC列とかいう鬼近クソ近席で始まる前から緊張が止まりませんでした。双眼鏡いらんかった。小西さんも今井さんもかっこよかった。眼福。

 

肝心の舞台についてなんですが、個人的にはあまり刺さりませんでした。期待しすぎたかも。

帝国劇場で同時期にやっていた『モーツァルト!』みたいな作品を想像していたので、全体的に薄いなあって印象でした。ゴヤが主人公ですよ!!!ゴヤのお話ですよ!!!という割にはゴヤの影が薄いというかなんというか。ゴヤ自身のお話というよりも、「ゴヤの絵を通して振り返る18世紀スペイン」といった感じです。てか主人公テバ伯爵じゃね。個人的にはもっとゴヤの感情や葛藤にフォーカスしてほしかった。ゴヤ、ホセーファ、マルティン以外の貴族の面々は強烈でキャラがしっかり立ってたのですが、この3人がちょっと弱かったです。ゴドイっていう貴族の男性が出てくるのですが、うわ〜!!今井さんのゴドイ観てみたいなあ!!!って思うくらいゴヤ自体の印象が残りにくかったです。あとゴヤが毒盛られるシーン=ゴヤの運命が変わるシーンとルイ16世(?)のギロチンのシーンを一緒にした意図がよくわからなかった。有識者解説頼む。

 

作曲家さんのスペインとかラテン音楽に対する研究は本当に素晴らしくて、目を見張るものがありましたが、それゆえに同じように聴こえる曲が多かったなあという印象です。あと一曲と一場面のスパンが長くて、間延びしちゃってるなと。この歌2番必要?とかまだこの歌終わってなかったの?とかまたこの旋律?とか思っちゃってちょっと退屈になってしまいました。ライトモチーフなんだろうけどうーーん??飽きるな????って感じでした。セリフと歌の間隔が長くて、そこ歌にしたら良くない??ってところも結構ありました。

 

演出と衣装はすごいなと。衣装なんて絵からそのまま出てきたみたいなクオリティだし、映像とアンサンブルの方を使って絵を表現するのとか、裸のマハのシーンとか、キャンバスを透かしてゴヤの顔が見えるようにする工夫とか、なるほど〜って思いながら観てました。衣装素敵なのにあの強烈なポスタービジュアルで霞んでてもったいない。パンフもほとんどポスタービジュアルだったし。

 

今井さんを世間の人に観てもらう舞台としてもちょっと惜しい。1幕出番少ないし。主役なのに歌少ないし。だからといってバリバリ踊るわけでもないし。まあたしかに他の役者さんに比べて歌は得意じゃないかもしれないけどさ!!タイトルロールだよ???日生の!!!!!もっとテバ伯爵とかゴドイみたいにアンサンブル従えて踊らせるとか、奥さんとの愛のデュエット歌わせるとか、それこそ2人でタンゴ踊らせるとかさ!!!!!主人公なのに歌うでもなく踊るでもなく喋るでもなくただ立って見てるだけとか座ってるだけとか(演技してるといえばしてるけど)そういうシーンが多かったなあと思いました。もうちょっとどうにかならなかったん?

革命の諸々がゴヤに影響を与えたのは事実だけど、ゴヤが直接革命に参加して何かしたわけじゃないから見てるだけになっちゃうのは仕方ないのかな。でもあんなに冗長なレミゼタイムいらなくない??

あと最後に出てくるゴヤがおじいちゃんに見えない笑

例のマントのシーンで体のラインが見えないのが個人的にウズウズしました笑

 

とても面白くて人気があって20年近く再演が続いている似たようなお話の公演の裏に未知数の新作を持ってきてしまったのがだいぶ惜しい!!!!!もったいない!!!!どうしても比べられてしまうよ!!!!!

 

端的に言うと薄味『モーツァルト!』のシカネーダーの出番をめちゃくちゃ増やして薄味『マリーアントワネット』と『レミゼラブル』のアンサンブルを取り入れてスペイン味のふりかけをかけました!!!みたいな。奥さんが亡くなるシーンまんま恵みの雨でちょっと笑ってしまった。

帝劇とか日生3月公演とか満員でやってるのにGOYA売り止め多かったし空席目立ったけど大丈夫?採算取れてる?????

 

これ観る1週間前に四季観たり、これ観たすぐ後に帝劇行ったりしてしまったので目が肥えすぎたというのも私的ノーヒットの原因のひとつかもしれません。

 

ここまでが初日の感想です。大千穐楽も行ったので感想書きます。

 

やっぱりタイトルロールのわりに主役の印象うすいなとか曲とかストーリーに対する感想は変わらないけど演技のクオリティが全然違ってびっくりしました。パコとマルティンの決別のシーンとかマルティンが死んじゃうところの「マルティン!!!!」っていう叫びとか開眼シーンとか初日はふーんって感じだったんですけど千穐楽はピタっとハマってて感動しました。皆さんそうだったんですけど特に今井さんの演技と歌の成長が著しくて、丁寧に丁寧にゴヤという人物を咀嚼したんだなあと。全体的に雑さがあるなあと思った初日と比べていまいち掴みにくかったゴヤの人物像に一貫性が見えてきてて、ひとつひとつ丁寧にかつのびのびとこなしてる印象でした。

初日の時は大劇場グランドミュージカルのタイトルロールは向いてないのでは?松竹さん、もっといい彼の売り出し方あると思うよ私がやりましょうか?(シンプルにパンダとして優秀とか大人の事情は置いといて)なんて思ってしまったんですけど千穐楽の演技を見てまたミュージカルでお姿拝見したいな、素敵!って素直に思いました。できれば初日にこのクオリティまで仕上げてほしかったな〜。

初日でおお!!!いいね!!!ってなったスライディングゴヤと目眩がしそうなゴヤタペストリー工場で国王に手紙書くってところで割烹着(?)みたいなのをファサ!!ってやるのがなくなっててちょっとというかだいぶショックでした笑。

 

 

初日だけ観た人が千穐楽観たらびっくりすると思うし逆も然りです。同じキャストでやってる同じ舞台を観るのは『Endless SHOCK -eternal-』以来なんですけど舞台ってこういうものなのかSHOCKがめちゃくちゃすごいのかはこれからの観劇で考えようと思いました。

 

初日終わった後にぶわああああっと書いてあとは公開するだけだったんですけど、あくまで個人的にうーんって感じだっただけなんで、舞台のネガキャンをするつもりはないし楽しみにしてる方とか楽しかった!よかった!って思ってる方に悪い影響を与えてしまっても責任取れないので下書き欄で1ヶ月温めてました。観客全員が面白いと思える舞台を作るのはほぼ不可能だし、こう思った人もいるよ〜くらいです。あくまで個人の感想です。

もし!!もし!!再演するなら全体的にキュッとまとめて場面転換と曲を増やしてゴヤ自身にもっと焦点を当ててもらいたい!!あとパコとペパの愛のデュオともっとパコのダンスシーン観たい!!!!!!終わり!!!!!